【連載コラム:にほんのココを魅せたい。】vol.5エコ推進の機運高まるシンガポール。

こんにちは。Momoです。夫の仕事に付き添ってシンガポールでの移住生活を4年間楽しんだ後、現在は東京暮らしをベースに、時々シンガポール滞在。のほほんと、なんとなく二重生活を送っています。日本(東京)で、シンガポールで、その他の東南アジアの国で見つけた日本の魅力を書いていきたいと思います。

シンガポールのプラスチックフリー。

さて、娘の幼稚園の夏休み期間、私たち家族はシンガポールに滞在していたのですが、(前回の更新から随分時間が経っていました…)その半年前と比較して随分進んだなぁと感じたのが、「プラスチックストロー廃止」の取り組みです。シンガポールのライフスタイル全般のトレンドは、欧米や隣国オーストラリアの影響を強く受けています。が、エコ推進に関してはどの取り組みを道半ばというか、例えば、欧州のように法律でプラスチック袋の使用を規制する動きなどがあっても良さそう(シンガポールっぽい)な感じがするのですが、そんな様子もなかったわけです。でも、ここにきて、どうやら急激に何かが動き出した感が。

◇ (シンガポール滞在時によく利用するイーストエリアの、とあるカフェにて。シンガポール国立大学とイエール大学の学生、卒業生の共同プロジェクトである「THE LAST STRAW」のポスターを見つけました。「THE LAST STRAW」は、海洋ゴミの量を減らし、使い捨てプラスチックへの社会の依存を減らしたいという願いから生まれたプロジェクト。企業がプラスチックストローへの依存を減らすために、それぞれがどんな誓約をしたかを評価するロゴマークを提供しています。ロゴマークは、ストローを完全に排除した店、環境に優しい素材のストローを提供する店、ストローを必要としている顧客にのみ提供する店、から選択されます。)

世界自然保護基金(WWF)が、「シンガポールでは7月1日までに270店以上の外食店がプラスチック製ストローの使用を中止する」と発表していました。WWFシンガポール支部は、国家環境庁(NEA)、非政府組織ゼロウェイストSGの支援を受けて、プラスチック削減キャンペーン「PACT」を開始(2019年1月)していて、現在はこのキャンペーンにおいて、シンガポール動物園などを運営するワイルドライフ・リザーブズ・シンガポール、ヒルトン・ホテルズ、スパ・エスプリ・グループ(スパ施設やカフェなどを展開)、アコーホテルズなど15社が事業展開しているのですが、これらの参加企業が展開する計270店以上の店舗でプラスチック製ストローの提供が中止(顧客の特別な要望があった場合を除いて)されたのです。尚、アコーホテルズでは、紙、パスタ、サトウキビ、米を原料としてストローを採用しているそうですよ。

シンガポールの非営利組織「THE FINAL STRAW」によるアンケート調査によると、“なぜストローを使うのですか?”という質問に答えた人のうち60%以上が、「特に理由はない。購入した飲み物に付いていたから。」と回答しています。どうしても必要なわけではないけれど、渡されたから使う。そしてそれが習慣化していることって沢山ありますよね。今日では、ステンレス、バンブー、シリコン、など人にも環境にも優しい素材で作られたストローが市場に出ています。“my箸(箸持参)”ならぬ“myストロー”というのもありますが、先ずは「ストローは必要な人にだけ渡す(借りる)もの」という感覚へのシフト。1日あたり約220万本のストローを使用しているシンガポール(「THE FINAL STARW 」のアンケート調査結果)。その消費量を端から端まで並べると、シンガポールの海岸線を2倍以上カバーすることになるとか。ストローは、減らしていきたいプラスチック製品の中で最もその利用を削減しやすいアイテムと言えるので、スーパーマーケットなどのレジ袋の使用率が隣国のマレーシアやオーストラリアのそれを大幅に上回るシンガポールにとっては、このプラスチックストローフリーは早く定着させたいわけです。

そして、航空業界でもプラスチック製品の利用削減は進んでいます。シンガポール航空では、今年9月に機内におけるプラスチック製ストローの提供を廃止しました。また、子ども用おもちゃのプラスチック包装をリサイクル可能な紙包装に変更しています。

さて、プラスチックフリーを叶えてくれるのは、飲食店だけではありません。日常のお買い物をより心地よく楽しめるお店がシンガポールに出来始めていました。

◇(2019年3月にオーストラリアからシンガポールに上陸した「SCOOP」。ここは、欲しいモノを欲しい分だけ買うことができる量り売りのお店です。商品を持ち帰るためにパックするのは紙袋かガラス製、またはステンレス製の容器。)

ドライフルーツ、ハーブ、スパイス、穀物類、チョコレート、シリアル、パスタ、オリーブオイルやココナッツオイルなどの食用油から洗濯洗剤や化粧水などのスキンケアまで、計り売り商品が揃います。さらに、肉や野菜などの購入に市場や専門店を利用すれば、日々の生活に必要なものはほとんどプラスチックフリーです。現在は、(2019年9月)この「SCOOP」のような大型店舗はシンガポール島内に1店舗のみですが、ローカルスーパーマーケットにも量り売りコーナーが増えつつあります。より多くのシンガポールで暮らす人々が便利に快適にプラスチックフリーな生活を楽しめるように、これからどんどん変わっていきますね。

さて、「SCOOP」の店内へ。ここでは、日本産のどんな商品が扱われているのかをみてみたいと思います。

◇(写真左:お店に入ってすぐ、食用油のコーナーが目に入りました。スペイン産のオリーブオイルと並んで置かれた日本産のコメ油。こちらは、遮光性のガラスの瓶に入れて持ち帰ります。 写真右:紅茶、ハーブティ、と並んでオーガニックの玄米茶が。) 

◇(小麦粉コーナー。ここでは、長野県産の天ぷら粉を発見。日本産の小麦粉や米粉を探したのですが、取り扱いがないようでした。)

日本産の商品、まだまだ少ないようですが、これからどんなものが取り扱われていくのか楽しみです。黒糖、お味噌、おいしいお醤油とか。フリーズドライ製法の技術も日本はとても優れていますし。

◇(写真左:木製の食器類や水筒、キッチンツール。 
写真右:トイレタリー商品コーナー。こちらには、残念ですが日本製の商品はありませんでした。竹の間伐材を利用した箸とか、お弁当箱とか、陳列されたら嬉しいなぁ…)

 

◇(写真左:もちろん!環境に優しいストロー製品はしっかり揃ってます。 写真右:ビーズラップです。今回、私はこちらをまとめて購入しました。お弁当のおにぎりや、娘の食べ残しのパンを包んだり。)

そういえば、旅行時のお土産。安全に持ち運ぶためにはしっかりと包装されている必要があるわけですが、選ぶ基準に“プラスチックフリー”を意識する人々がこれからどんどん増えていくはず。次回の記事はそのあたりもふまえて書いてみたいと思います。

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Momo

元ハワイ好きの広告営業兼コンテンツプロデューサー。海外旅行はハワイだけ!状態から、夫の事情と都合でシンガポールに移住。現在は、東京とシンガポール、行ったり来たりの生活を送るも、将来は東南アジアのどこかで暮らしたいと思っている。

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