こんにちは。
経済成長が著しいベトナムでは、日本と同じように証券取引所が存在します。
おそらくご存知でない方も多いと思うので、今回はベトナムの証券情報をご紹介させて頂きます。
- ベトナムの証券取引所
- 各証券取引所の詳細
- ベトナム国内の大手証券会社
- 証券会社は日系企業が良い?または現地企業?
- 主な銘柄
- 最後に
1:ベトナムの証券取引所

ベトナムには下記三つの株式市場が存在します。
- ホーチミン証券取引所(通称:HSX、HOSE)
- ハノイ証券取引所(通称:HNX)
- UPCoM店頭市場
役割としては、
- HSXは株式市場
- HNXは債券市場とデリバティブ(派生証券)市場
- UPCoMは未上場公開株取引市場
を管理する役割を担っています。
日本に例えてもう少し説明すると、
- HSX=東証一部
- HNX=東証二部
- UPCoM=マザーズ又はジャスダック
のような感じで捉えてもらえればOKです。
ちなみに日本はTOPIX(東証株価指数)で経済の動向を読み取ることのできる指標がありますが、ベトナムの場合はVN指数という指標があります。これはホーチミン証券取引所に上場している全銘柄で構成された指標になります。
2:各証券取引所の詳細

下記が設立時期になります。
- ホーチミン証券取引所:2000年7月20日
- ハノイ証券取引所:2005年3月8日
- UPCoM 店頭市場:2009年6月24日
各証券市場の詳細はこちらです。(2020年3月時点)
HSX
- 総銘柄数:383
- 時価総額:約15兆円
- 上場銘柄一例:ビナミルク、ビングループ、テクコムバンク、ペトロベトナムガス
- 所在地:16 Võ Văn Kiệt, Phường Nguyễn Thái Bình, Quận 1
- WEB:https://www.hsx.vn
HNX
- 総銘柄数:367
- 時価総額:約9700億円
- 上場銘柄一例:ACB・ビコストーン・ビナコネックス
- 所在地:2 Phan Chu Trinh、TràngTiền、HoànKiếm
- WEB:https://hnx.vn/en-gb/
UPCoM
- 総銘柄数:879
- 時価総額:2兆円
- 上場銘柄一例:アグリバンク保険、ベトナム空港社など
1番下のUPCoMはHSX・HNXに比べて情報開示のハードルや、業績面での制約が少ないです。
ベトナムの政府は国有企業の民営化を推進している為、国有企業が民営化する際はまずUPCoMに登録されます。ちなみに現在大手航空企業であるベトナム航空は、19年にUPCoMからホーチミンへ上場しています。
UPCoMは未上場公開株取引市場ですが、登録企業の時価総額や売買高はハノイ証券取引所を遥かに超えています。
3:ベトナム国内の大手証券会社

ローカルの大手証券会社は下記になります。
- サイゴン証券
- ホーチミン市証券株式会社
- ベトナム資本証券合資会社
- Vndirect Securities Corporation
- ACB Securities Company Ltd
ちなみにベトナム株を扱う日系証券会社はSBI証券が有名ですね。
他にも扱っている日系証券会社はあるのですが、日系証券会社経由でベトナム株を取引する事は次項の理由からあまりお勧め出来ません。
4:証券会社は日系企業が良い?または現地企業?

先述した内容をまとめると、ベトナム株を取引する手段は、
- ベトナム株を取扱う日本の証券会社で口座開設をする
- ベトナム現地の証券会社で口座開設をする
と2つの選択肢がありますが、
- 有償増資
- 手数料額
- 為替レート
の3つの点で現地証券会社の取引に大きなメリットがあります。
ほとんどの日系証券会社はベトナム株の場合、約定代金の2%程度が取引手数料となる事が多く、短期売買にはまず向いていません。よって日系証券会社経由では中長期的に保有したい方向けとなります。
ベトナム語又は英語が話せない方やベトナムに訪れた事がない方は、手数料と引き換えに手間が掛からない日系証券会社で取引する事をお薦めします。

前述した「ベトナム現地の証券会社で口座開設をする」ですが、現地の証券会社で口座を作成後、更に2ステップを踏む必要があります。
ベトナムでは外国人の証券投資に規制があり、現地の銀行に間接投資口座を開設する必要があります。株式はベトナム証券預託(VSD)に保管され、ここにも口座を開設し証券取引コードを取得する必要があります。
よって証券会社、銀行、VSDの3社で口座を開設した後、初めて現地の証券会社経由での株式取引が出来るようになります。
- 日系証券企業:為替レート等高いが手間は省ける
- 現地証券企業:手間が掛かるが為替レート等安い
5:主な銘柄

ここで少し銘柄を紹介したいと思います。
1:ビナミルク(VNM)

- 市場シェア75%を誇る乳製品、食料加工品の製造販売企業
- ホーチミン証券取引所でトップクラスの時価総額を誇る
- プロモーションなどもうまく行っている印象が強いので今後も期待が強い銘柄
2:ビングループ(VIC)

- 不動産開発やオフィス賃貸など幅広く事業展開をしている企業
- 病院ビジネスや教育ビジネスにも参入しており、不動産業界のトップ
3:サイゴンビール(SAB)

- ビール・アルコール・飲料の生産・販売、運輸・倉庫サービスの提供をしている企業
- ベトナムでは消費されるアルコールの94%がビールということもあり、安定した需要がある
- 上場当時はビナミルクの時価総額を上回った程注目を集めた銘柄
4:ペトロベトナム(PVN)

- ベトナム最大の国営エネルギー企業であり、全法人税収の3割を稼ぎ出すといわれる巨大コングロマリット
- ベトナム評価レポート社(Vietnam Report)が昨年2019に発表した「収益が高いベトナム企業トップ500(Profit500)」ではなくに続き1位
- 2010年には、みずほ銀行が金融面からインフラ・プロジェクトをサポートすべく業務協力協定を締結(参考記事:https ://ndh.vn/ngan-hang/petro-vietnam-pvfc-ky-ket-hop -tac-voi-ngan-hang-mizuho-1013402.html)
5:SSI証券(SSI)

- ベトナム最大手の証券会社
- 証券業務のほか、投資銀行業務や資産管理業務なども手掛けている
- 日本の大和証券が筆頭株主である(2018年には持ち株比率を20.39%に引き上げ)
- 国内産業の発展に伴って証券会社のビジネスも大きく前進する傾向があるので期待が強い銘柄
6:最後に

2019年には上場投資信託を軸に、外国人投資家の買いが集中したニュースが流れていました。外国人投資家が上場投資信託を選ぶ大きな理由としては2点あり、1点目は上記した通りベトナム国内の個別銘柄には外国人投資比率の制限があります。これにより自由度の高い信託を選択している事が挙げられます。2点目はベトナム市場のMSCI分類で「フロンティア市場」から「新興国」への格上げが期待されていた事が挙げられます。しかし結果的には据え置きとなってしまい、外国人投資家の売りが増加しました。
ここ最近、肌感覚ですがベトナム政府は自国民・外国人の定期預金を株へシフトさせたい意向が強くなっている印象です。
他国と比べ高い金利を誇るベトナムの定期預金ですが、現状の金利や今後の展望やなども含め、次回お伝え致します。
ではまた!
Shunsuke
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