はじめに
近年、シンガポールのゲーム業界は目覚ましい成長を遂げ、世界のゲーム業界においても重要な地位を占めるようになりました。アジアには相当数のゲーマーが存在し、開発者、パブリッシャー、ハードウェアメーカーによるエコシステムも盛んであることから、シンガポールのゲームシーンは2023年も継続的な成長が期待されています。この記事では、シンガポールのゲーム業界の現状、主要人口統計、主要プレイヤー、新たなトレンドについて紹介します。
1. シンガポールのゲーム業界のが秘める可能性
世界のゲーマーの45%をアジア居住者が占めており、シンガポールのゲーム業界も大きな成長の可能性を秘めています。
モバイル・ゲーマーの41%が週に15時間以上ビデオゲームをプレイしており、こうした状況と戦略的な立地や強力なインフラとが相まって、数多くのゲーム開発者、マーケティング担当者、パブリッシャー、メーカーをシンガポールに誘致しています。UbisoftやRiot Games、Razerといった名だたる企業がシンガポールを事業拠点に選んでいることも、現地のゲーム市場に計り知れないビジネスチャンスがあることを示しています。
また、シンガポールはスマートフォンの利用率と普及率が高く、2025年までに人口の93%に達すると予想されていることから、モバイルゲーム市場も非常に有望です。Opensignalのマルチプレイヤーモバイルゲーム体験の測定では、シンガポールは世界で最も高い評価を受けています。当社のクライアントの1つである『ポケモンUNITE』はシンガポール市場に向けて展開しているモバイルMOBAゲームです。当社では、東南アジア市場におけるSNSページの管理と翻訳で、ローカル市場に参入する際の障壁となる文化や言語の違いを埋めるための支援をしました。
2. 人口統計と多様性
一般的に考えられているのとは異なり、シンガポールのゲーム・コミュニティは10代の少年に限定されているわけではありません。当社の調査ではシンガポールのゲーマーの多くは16~34歳で、55歳以上でも30%の人がゲーマーであると自覚しています。
また、Newzooの統計によると、シンガポールのゲームコミュニティで最も多いのは36歳から50歳の女性で、国内のゲーマー380万人のうち23%を占めています。「タイムフィラー」と呼ばれるこの層は、シンガポールのゲーマーの多様性を示しています。ゲームの持つ包括性や幅広い魅力が、さまざまな年齢層や性別に広く普及している一因となっています。
3. 地域と国内のゲーム・ハブ
シンガポールは、UbisoftやRiot Games、バンダイナムコなどの世界的なトップ・スタジオにとって、地域のゲーム・ハブとしての地位を確立しています。その一例として、カプコンから新しく発売された『ストリートファイター6』が挙げられます。当社では、同ゲームのTiktokアカウントとプレゼンス開発を支援しました。。多くのグローバル企業がゲーム・ハブとしてのシンガポールの重要性を認識するのに伴い、SNSアカウントや現地市場専用の事業基盤の開発が飛躍的に増加しています。
しかし、地元のスタジオも負けてはいません。
AFA2022でBattlebrew Productionsのブースを訪れた際、近日発売予定のゲーム『Cuisineer』に強い印象を受けました。同ゲームは、BitSummit X-Roads 2022公式セレクションの受賞作の1つであり、PAX East 2022のPAX Together Pickとしてもすでに高い評価を受けています。マーラーやタピオカティーなどの地元料理の要素を織り交ぜたSNSで非常に有望なスタートを切り、認知度も上がっているようです。シンガポールのユニークな文化的魅力がゲームシーンでも前面に押し出されており、この素晴らしいゲームの成功次第では世界市場への突破口になるかもしれません。
4. eスポーツEsportsの進化
シンガポール人自身も、eスポーツシーンをより強力で盛んなものに発展させるかもしれません。2023年5月、シンガポールは『Valorant』で初のSEA Games esportsの金メダルを獲得しました。その他、『モバイル・レジェンド』のEVOS SG『DOTA2』プレイヤーのダリル・コー・ペイ、『ストリートファイター』でチャンピオンとなったプロ格闘ゲーマーのホー・クン・シアンなど、シンガポールにはeスポーツで活躍する著名人もいます。
さらに、政府機関であるエンタープライズ・シンガポール、メディア開発庁、シンガポール政府観光局から成るシンガポールゲーム協会(SGGA)のようなeスポーツを盛り上げるための政府支援により、海外企業にとっても魅力的なeスポーツの開催地や拠点として発展し始めています。Visit Singaporeの「eスポーツファンのための2日間のガイド」では、ホー・クン・シアン自身が登場し、シンガポールのeスポーツシーンが今後さらに発展していくことをアピールするような観光地を紹介しています。
5. 世界のゲームシーンにおけるシンガポールの貢献
シンガポールのゲーム業界は国内市場にとどまらず、世界のゲームシーンに大きく貢献しています。83のゲーム開発者、マーケティング担当者、パブリッシャー、メーカーが進出していることは、シンガポールがゲームのハブとして注目されつつあることを示していると言えるでしょう[3]。特筆すべきは、UbisoftやRiot Gamesといったグローバル企業がシンガポールで確固たる地位を築いている一方で、Razerのような国内企業も存在感を示し続けていることです[2]。このような国内企業とグローバル企業の相乗効果によってシンガポールのゲーム・エコシステムは強化され、さらなる成長と革新が期待されています。
まとめ
2023年現在、シンガポールのゲーム業界は、その幅広い可能性や多様な人口統計、主要な業界プレイヤーの存在に後押しされて活気に満ちています。こうした環境は、ゲーム・コミュニティの包括的な性質やゲーム機器間での激しい競争、サブスクリプションサービスの登場などによって形成されています。その戦略的な立地と協力的なインフラにより国内外のステークホルダーを引き付け続け、さらに活気あるゲーム・エコシステムを育んでいくでしょう。シンガポールのゲーム業界の未来は明るく、革新と成長、そして魅力的なゲーム体験の機会が待っています。
シンガポールのゲーム市場は、グローバル企業にとって非常に有利な市場です。
この複雑かつ活気あふれる文化市場への進出にご興味がありましたら、ぜひPRAP Pointsはにご相談ください。SNSやマーケティングの目標達成のサポートなど、勢いのある企業がひしめくシンガポール市場にも挑戦できる支援を備えています。
Ian Tan
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