こんにちは。PRAP POINTSベトナムの小林です。
コロナウィルスの感染者が中国以外にも、イタリア、韓国、イラン、日本など世界各地で急増、未だ収束が見えずオリンピック開催が危ぶまれるフェーズへ入ってきました。
もしオリンピックが中止になれば、単純計算で日本は約32兆円という途方もない経済機会損失を受ける事になります。
さて今回は、
- ベトナム
- シンガポール
- タイ
- マレーシア
- インドネシア
- フィリピン
の東南アジア6カ国のコロナに対する動向から、現地メディアとの関係性について解説していきたいと思います。
1:ベトナム政府の動向とメディア推移
ベトナムの主な動き、時系列は以下(感染者数の情報除く)
- 1月23日:初の新型コロナウイルスへの感染確認
- 1月24日:ベトナム各地と中国武漢市を結ぶ航空便のキャンセルを指示
- 1月30日:中国人への観光ビザの発給を一時停止
- 1月30日:中国との国境における商取引を制限
- 2月1日:1日以降のベトナム〜中国間の運航を一時停止
- 2月2日:23省・市が各種教育施設の休校
- 2月3日:感染症の発生を発表した省市におけるすべての祭典を中止
- 2月3日:中国側とベトナムを結ぶ国際鉄道路線の運行を一時停止
- 2月5日:過去14日以内に中国に滞在、又は渡航歴のある外国人のベトナム入国を一時的に認めない旨を発表
- 2月5日:コロナウイルス患者の治療費を全額無料にすることを発表
- 2月7日:感染確定者又は疑似症例者が各検査や隔離の実施に協力しない場合、必要に応じて強制的な医療隔離の実施を発表
- 2月13日:ソンロイ村に関して道路に12箇所の検問所を設置
- 2月14日:使用済みマスクの不適切廃棄に対する処罰として最大700万VND(約3万3500円)の罰金を科すことを提案
- 2月25日:感染流行地域からの労働許可証の新規発給を一時停止
- 2月26日:韓国からの全ての入国者に対する医療申告の実施
- 2月29日:韓国人に対するビザ免除を停止
- 2月29日:入国するイラン人及びイタリア人に対して14日間の医療隔離
ここでメディアの記事数と上記の時系列を比較してみましょう。
ここで数値が上がっている2月12日の記事を調べてみました。
- https://news.zing.vn/1115-nguoi-chet-vi-virus-corona-hon-45000-ca-nhiem-post1046003.html(リーチ数:18M)
- https://m.vietnamnet.vn/vn/the-gioi/tin-tuc-virus-corona-ngay-12-2-nguoi-chet-tang-hon-bon-van-nguoi-nhiem-615686.html(リーチ数:17M)
実際にリーチの高い2月12日付けの記事を確認しましたが、大手メディアはこの日だけで30記事ほどアップしているところがありました。政府から情報解禁の合図があったのか、真相は分かりませんがこの日から記事が急激に増加しています。
記事の内容は主に全世界の患者数および死者数、また国内のマスクの状況や他国の動向やマスク関連記事など様々でした。また上記で記載した時系列と照らし合わせても記事の増加と紐づく出来事は特にありません。
上記から、実際のベトナム政府の動きと記事増加の関連性は薄いと言えます。
ベトナム国内では、政府に関する出来事があるとネット回線やSNSの動作、情報の拡散が遅くなる(情報統制)ので、今回もその類かと思われます。
しかし逆説的に考えると、メディアの統制を図ることで国民の混乱を防ぐ、大使館等から出る正確な情報に耳を傾けられるメリットがあります。
2:シンガポール政府の動向とメディア推移
シンガポールの主な動き、時系列は以下(感染者数の情報除く)
- 1月23日:初の新型コロナウイルスへの感染確認
- 1月29日:過去14日以内に湖北省への渡航歴がある者及び湖北省発行の中国旅券所持者は,シンガポールへの入国及びトランジッ トが許可されない
- 2月1日:14日以内に中国本土への渡航歴を持つ新規入国者は,シンガポール入国又はトランジットは許可されない
- 2月1日:中国旅券所持者に対し全てのビザの発行を一時停止。また中国旅券所持者のトランジットも一時停止
- 2月18日:政府が5,056億円の経済支援パッケージを発表
- 2月23日:韓国テグ市とチョンド郡への不要不急の渡航を延期を勧告
- 2月26日:過去14日以内に大邱及び慶尚北道清道郡への滞在歴がある場合、国籍を問わず旅行者の入国を拒否
ニュースでも度々報道されていましたがウイルスの感染が拡大する中、シンガポール政府は厳しい検疫態勢をとっていますね。
隔離措置に従わない場合は、1万SGD(日本円で約80万円)の罰金又は6か月以内の禁錮、またはその両方が科されるとしています。
またシンガポールは新型コロナウイルス対策予算に関して世界主要国の中でもトップを誇ります。
- アメリカ:約2800億円
- シンガポール:約5000億円
- 日本:約153億円
人口約570万人のシンガポールで新型コロナウィルスの感染者数は現在106人(2020年3月2日時点)と比較的多いことになりますが、感染者数が多いのは探し当てる能力が高い結果の数字かと思われます。
ここでメディアの記事数と比較してみましょう。
まず、数値が上がり始めた1月24日周辺は国内初の感染者が現れましたね。ここは素直にメディアの記事数にも動きが出ています。
2月18日以降の増加にはシンガポール政府が多額の経済支援を発表した事が関連してますね。また韓国の南東部にある大邱(テグ)地域での急増も、記事数の変動に関連があると思われます。
上記の結果から、シンガポール国内の記事数の伸びは時系列に結びついていると言えます。
3:タイ政府の動向とメディア推移
タイの主な動き、時系列は以下(感染者数の情報除く)
- 1月13日:初の新型コロナウイルスへの感染確認
- 1月30日:査証(アライバルビザ)を取得可能国から中国を排除
- 2月2日:坑HIV薬とインフルエンザ薬で症状改善と発表
- 2月4日:小売店対象にマスクとアルコール除菌液の価格統制開始
- 2月17日:価格統制対象をメーカーに拡大
- 2月17日:日本、シンガポールからの入国者に対して検疫を強化する旨発表。同時に日本とラスベガスへの渡航自粛
- 2月23日:中国や香港、台湾、マカオ、日本、シンガポール、韓国など新型コロナウイルスの感染が拡大している地域からタイへ入国した場合、もはや14日間の自己観察を行うよう協力を呼び掛け
- 2月28日:バンコク都ドンムアン区にあるインターナショナルスクールに対し休校を命じる
タイは東南アジアの中で1番早く感染者が発見された国です。
しかし下記のように、他国と違った対応をとっております。
タイ政府は、新型コロナウイルスの大流行に関する世界保健機関(WHO)のガイドラインを順守しています。WHOは、どの国または地域にも旅行禁止を発令したことはありません。なぜなら、そのような行動は役に立たず、ウイルスの拡散を防ぐことはできないと判断したからです。(タイ国外務省発表 2020年2月10日)
記事数との関連性を見ていきましょう。
1月下旬2月下旬にかけて徐々に記事数が増えています。2月11日以降の平日の記事数は右肩上がりです。これは政府が正しい見解と自国の医療技術に関して、国民へ声明(上記)を発表した後ですね。この周辺の記事の例はこちらです。
- https://www.sanook.com/news/8031550/(リーチ数:17M)
内容の多くは上記のようなクルーズ船「ウェスターダム」の入港を拒否したニュースで、これがメディアや市民の関心を集めている要因となったようです。
上記の結果から、タイ国内の記事数の伸びは時系列に結びついていると言えます。
4:マレーシア政府の動向とメディア推移
マレーシアの主な動き、時系列は以下(感染者数の情報除く)
- 1月25日:初の新型コロナウイルスへの感染確認
- 1月27日:武漢市及び湖北省における中国国民向けのビザ発給を一時停止
- 2月9日:中国の港を出港ないし寄港したクルーズ船がマレーシアに入ることを禁止する。
- 2月17日:中国の浙江省及び江蘇省からの旅行者に対しても、国籍に依らずマレーシアへの入国を禁止
- 2月27日:既に勧告している中国湖北省,浙江省,江蘇省に加え,韓国,日本,イタリア及びイランへの不要不急の渡航は延期するよう,マレーシア人に対して勧告
- 2月28日:過去14日間に韓国テグ広域市及び清道郡への渡航歴がある旅行者はマレーシアへの入国が禁止される
2月28日:過去14日間に韓国テグ広域市及び清道郡への滞在歴がある,マレーシア人,永住権を持つ居住者,長期滞在ビザ及び学生ビザを有する者は,保健省によるヘルススクリーニングを受けなければならない。 - 2月28日:入国監視の強化のため,韓国,日本,イタリア及びイランからの渡航者専用のカウンターを空港に用意
マレーシアは隣国シンガポールとコロナウイルス対策のための合同作業部会を設置しました。ジョホールバルとシンガポールとの国境での検閲強化や、感染者が出た際の対策など緊密な協力体制を整えているようです。
それでは記事数との関連性を見ていきましょう。
マレーシアの記事数の伸びは、隣国同士なだけあって非常にシンガポールと動きが似ています。
最初の記事の伸びは1月25日周辺で、マレーシアで初の新型コロナウイルスへの感染が確認されたタイミングなので記事数の伸びへ顕著に現れています。
その後は不要不急の渡航延期など政府から勧告が出て、平日にかけて徐々に記事数を伸ばしています。
上記の結果から、マレーシア国内の記事数の伸びは時系列に結びついていると言えます。
5:インドネシア政府の動向とメディア推移
インドネシアの主な動き、時系列は以下(感染者数の情報除く)
- 2月5日:新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、中国本土からの航空便の運航停止
- 2月5日:法務人権大臣令を発出し、中国国籍保有者及びインドネシア入国前の14日以内に中国(除香港、マカオ及び台湾)に滞在した外国人(日本人含む)について、インドネシアへの入国許可を付与しない措置を施行
- 3月2日:初の新型コロナウイルスへの感染確認
インドネシアは東南アジア主要国の中で唯一3月まで感染が確認されていなかった国ですね。2月に感染者は出ていませんでしたが、早々に中国本土からの航空便の運航停止などの政策を打っており、こちらも対応の早さが伺えます。
記事数との関連性を見ていきましょう。
一番目に着く3月2〜3日の伸びは第一感染者が確認されたタイミングです。インドネシアも時系列と記事数が密接に繋がっている事がよく分かります。
その他で1月26〜29日周辺で記事数が伸びているので、その期間でリーチが高い記事を下記に挙げてみました。
- https://www.indozone.id/news/qEsANg/menkes-pede-pemerintah-tiongkok-mampu-berantas-virus-korona?utm_source=wpberitaterk&utm_medium=wp_beritatrkn&utm_campaign=hithome(リーチ数:2M)
- https://www.msn.com/id-id/berita/dunia/wabah-virus-corona-6-negara-berencana-evakuasi-warga-dari-china/ar-BBZlLAz(リーチ数:159M)
この時期はまだ国内感染者が確認されていなかった為、ほとんどの記事が中国の動向または中国へのチャーター機に関するニュースでした。
上記の結果から、マレーシア国内の記事数の伸びは時系列に結びついていると言えます。
6:フィリピン政府の動向とメディア推移
フィリピンの主な動き、時系列は以下(感染者数の情報除く)
- 1月30日:初の新型コロナウイルスへの感染確認
- 2月3日:14日以内に中国本土とその特別行政区への渡航歴がある外国人のフィリピンへの入国を禁止
- 2月10日:フィリピン当局(入国管理局、運輸省等)は、フィリピン人及びフィリピンにおいて永住許可を保有する外国人以外の中国、香港、マカオ及び台湾からの入国(入国日前の14日以内に同国・地域に渡航歴のある者を含む)を、一時的に禁止
- 2月26日:フィリピン政府は、韓国大邱広域市及び慶尚北道清道郡に係る入国・渡航制限を施行
記事数との関連性を見ていきましょう。
第一感染者が確認された1月30日周辺、また入国規制をかけた2月3日周辺の記事数が非常に伸びています。また感染者が他国に比べ少ない事もあり、その後の記事数は土曜日または日曜を除き一定数を保っています。
上記の結果から、フィリピン国内の記事数の伸びは時系列に結びついていると言えます。
おまけ:台湾の動向(IT)
台湾はマスクに関して輸出や持ち出し、転売が禁止され、2月6日にはマスクの購入が実名制になり7日間で2枚しか買えないようになるという厳しい規制を打ち出しています。
そんな中、 IQ180の38歳天才大臣の対策に世界の注目が集まっていますね。
台湾国内の薬局にあるマスクの在庫データをGitHub上で公開し、なんとIT担当大臣自身がforkしています。
- https://t.co/X7ujNJGUdg?amp=1
公開後に民間のITエンジニアがデータを地図上に落とし込み、在庫状況がひと目でわかるアプリを開発しリソース配布しました。その上このGitHub上のデータは1分おきに自動更新が掛かる設定になっているので、タイムラグがほぼありません。
マスクの国内状況が地図や数字で可視化出来たことにより、供給出来てない地域・人に譲ろうという動きが強まっているようです。
まとめ
今回はメディアの記事数と時系列の関連性、また日本とシンガポールにおける記事の違いについて書かせて頂きました。3月に入り、世界の各地で感染者数が増加し、ついに3月11日に新型コロナは「パンデミック」 WHOが表明しました。
記事数と時系列は相関関係にあり、その内容のデータに関しては対応の早さや国民の理解度が顕著に現れていると言えます。
ありがとうございました。
Shunsuke
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