旅行業界へ大打撃?!コロナ禍におけるインドネシアの現状を解説

こんにちは、POINTS JAPANのレスティ (Resti) です。

COVID-19が私たちの日常生活における生活習慣を大きく変えたことは言うまでもありません。パンデミックへの影響や対応は、世界各国さまざまですが、インドネシアもこのコロナ禍で大きな影響を受けた国の一つです。今回の記事では、コロナ禍の直近2年間で、インドネシアが受けた影響と社会的変化をご紹介します。 


COVID-19がインドネシアに与えた影響

他国と同様に、インドネシアでは、COVID-19が個人間での感染や、コミュニティ間での感染が増加しました。現在までのデータだと、約420万人以上の陽性患者と14万人が死亡に至っており(WHO、2021年11月)、このパンデミックは群島全体の貧困を悪化させています。ユニセフの報告書によると、インドネシアでは現在約8,000万人の子どもたちが、コロナ禍において教育や医療保健、栄養面などさまざまな問題を抱えていると報告されています (UNICEF, 2021)。

これら現地のコミュニティを支援し、感染拡大を防ぐために、多くのインドネシア人(特に若者)が、さまざまなプラットフォームを通じて、意識を高めるための措置を行なっています。 インドネシア労働安全衛生(Indonesian Occupational Safety and Health)評議会(Council – DK3N)のFadllil Kaafi(27)は、COVID-19に関連する問題について、若者を教育するオンライントークショーを毎週開催しています(International Labor Organization, 2020)。

さらに若い世代を中心に、国内貧困層に対して経済的損失を支援するために、デジタル寄付やSNS上での小さな慈善キャンペーンを通じて、共同慈善活動に参加していることがわかります。 KopernikとGoPayの調査によると、パンデミックの間に全体的な寄付は20%増加しましたが、デジタル寄付あたりの平均値は同期間に72%まで増加しました (Casalderrey, Prathama 2021)。

macbook pro displaying group of people

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在宅勤務とICTの使用

国内における多くの不要不急の事業も、政府による封鎖と厳格な制限のために、100%在宅勤務の方針を実施することを余儀なくされました。 企業と従業員は初期段階で大幅な働き方改革を行う必要がありましたが、リモートワークの実装により内部のデジタルトランスフォーメーションが加速しました。 PTユニリーバインドネシアでは、従業員が自宅からより効率的かつ効果的にリモートワークを行うことを支援するために、社内テクノロジーにより多く投資を行ったと報道されています (Prasidya, 2021)。

Google MeetsやZoomなどのビデオ会議ツールも、オンラインディスカッションを容易にするために企業や学校で広く使用されています。 オフラインイベントの復活がまだ見通しが立たないため、インドネシアのイベント主催者はオンラインセミナーやイベントを主催するためにInstagramライブに注目しています。

cars on road near buildings

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新しいビジネスガイドライン

インドネシア政府は、ウイルスの蔓延を食い止めるために、企業や産業向けの新しいガイドラインも公開しました。 これらの4つのガイドラインは次のとおりです。

  • Hygiene (衛生)
  • Low-touch (接触を最低限に)
  • Less Crowd (密集を最低限に)
  • Low Mobility (移動を最低限に)

このパンデミックを乗り越えた企業は、前述した4つのガイドラインにうまく適応できる企業としています。


airplane flying in the sky during daytime

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インドネシアの旅行動向

次に、インドネシアの旅行トレンドにおいて起こった変化をいくつか見てみましょう。

観光創造経済省 (Tourism and Creative Economy Ministry)は、観光地における安全性に対する不安を払拭するために、2020年に清潔、健康、安全、環境の持続可能性を表すCHSEプロトコルを導入しました。CHSEプロトコルは、COVID-19と共存していくための指標と対策実施を目指しています。企業は事業を再開する前に、これらのプロトコルを実装し、正式な認証を国から取得する必要があります。

CHSEは市民が安心して旅行できることと、COVID-19の蔓延を遅らせることを目的としています。しかし、認証過程で既に財政面で苦労している企業に財政的負担をもたらすため、多くのホテルやレストランが懸念を表明しています(Eloksari, 2021)。

また、海外旅行不足ということで、インドネシアでも一部の層でステイケーションブームが起こっています。現状、世界中のホテルが事業を存続するために、より多くの地元顧客を獲得することに重点を置いています。インドネシアでも同様に、ホテルが地元の人々を対象としたさまざまなマーケティングキャンペーンを開始し、フードデリバリーサービスも開始しました (The Jakarta Post, 2021)。 2020年後半、バリ州の観光局は、休日のホットスポットを活性化し、COVID-19健康プロトコルをテストするための観光「ドライラン」として、バリ州に住む4,440人の住民に無料のツアーと滞在を提供しました (Reuters, 2020)。

woman swinging on hammock

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インドネシア人は「リベンジ旅行」に期待するのか?

Wegoによる最近の調査によると (Wego.com, 2021)、インドネシア人の40%が、COVID-19ワクチンの接種後に海外旅行を計画しています (Wego, 2021) 。 39.5%が「たぶん」と答え、20.5%が「いいえ」と答えましたが、ワクチン接種を受けても海外旅行は安全ではないと感じています。 興味深いことに、調査では、50代半ばから60代の75%が、可能であれば海外旅行をしたいと答えましたが、若い世代はより不明確なようです。

Image Source: Wego.com

ワクチン接種を受けても海外旅行をしないと考える主な理由には、COVID-19感染の懸念(47%)、目的国の入国要件がわからない/現在の国際渡航禁止令(14%)などが挙げられます。 COVID-19以外の健康問題(13%)なども含まれているようです。

旅行を考えている人は、30%が東アジア((日本、韓国、香港、台湾、中国))、続いて東南アジア(24%)、ヨーロッパ(15%)を訪れることに興味を持っています。

インドネシア政府は最近、観光業界のビジネスではなく、観光産業に34億ルピアを投資すると発表しました (Faqir, A, 2021)。 将来性はまだ不透明ですが、COVID-19の症例、ワクチン接種プログラム、安全ガイドラインの実施による影響で、徐々に感染者数が減少していることは、インドネシアが他の国々と同様に、次のフェーズに移行する準備ができていることを示しています。


参考文献

WHO (2021). Indonesia Covid Situation. https://covid19.who.int/region/searo/country/id

International Labor Organization (2020, May 20). Online youth engagement to prevent the spread of COVID-19. https://www.ilo.org/jakarta/info/public/fs/WCMS_743699/lang–en/index.html

UNICEF ( 2021, August 21). 80 million children in Indonesia face widespread impact from COVID-19 pandemic https://www.unicef.org/indonesia/press-releases/80-million-children-indonesia-face-widespread-impact-covid-19-pandemic

Casalderrey, O, Prathama. K, (2021, March 6)  Digital donations – new potential to accelerate philanthropy. The Jakarta Post. https://www.thejakartapost.com/academia/2021/03/05/digital-donations—new-potential-to-accelerate-philanthropy-.html.

Prasidya, Y. 2020, June 17. Working from home could become the new normal post pandemic. The Jakarta Post. https://www.thejakartapost.com/news/2020/06/17/working-from-home-could-become-new-normal-post-pandemic.html

Eloksari, E. 2021, September 29. Tourism players oppose mandatory CHSE certification

https://www.thejakartapost.com/news/2021/09/28/tourism-players-oppose-mandatory-chse-certification.html

The Jakarta Post. 2020, March 30. Indonesian hotels offer food delivery service amid COVID-19 spread https://www.thejakartapost.com/life/2020/03/31/indonesian-hotels-offer-food-delivery-service-amid-covid-19-spread.html

Reuters. 2020, September 24. Indonesia gives free Bali staycations to test tourism readiness

https://www.reuters.com/article/us-health-coronavirus-indonesia-bali-idUSKCN26F1KX

Wego.com. 2021, March 15.  Wego Survey: 40% of Indonesian Travelers Plan to Travel Abroad After Receiving COVID-19 Vaccine. https://blog.wego.com/wego-survey-40-of-indonesian-travelers-plan-to-travel-abroad-after-receiving-covid-19-vaccine/ 

Faqir, A. 2021, September 21. Dana Hibah Pariwisata Naik Menjadi Rp3,7 Triliun Tahun Ini. Merdeka.com. https://www.merdeka.com/uang/dana-hibah-pariwisata-naik-menjadi-rp-37-triliun-tahun-ini.html 

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Resti Hartiningtias

1997年生まれ、インドネシア出身。アジア太平洋の社会、文化とメディアを学び、2019年に立命館アジア太平洋大学を卒業。前職はインバウンドとホスピタリティコーディネーターとして事業再生コンサルティング会社に勤務。

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