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なぜ日系イベントはブランドにとって有効なマーケティングプラットフォームなのか
① 「日本に特化したイベント」が多いバンコク
タイ、とりわけバンコクでは、日本をテーマにした大型イベントが毎年継続的に開催されています。
「JAPAN EXPO THAILAND」や「バンコク日本博」は、日本文化、ポップカルチャー、食、旅行、製品などの広いテーマを取り扱い、単なる展示会ではなく「日本の多様なコンテンツを現地で体験・接触できる場」として定着しています。
こうした日本に特化したイベントが開催し続けられている背景には、日本がタイ市場において持つ力が依然として強いことが挙げられます。バンコクでは、特定の国名を主軸とした大規模イベントが同規模・同頻度で開催される例は多くなく、「日本」というテーマ自体に来場者は期待を寄せています。
② 日本志向が強いタイ人、イベントの来場動機と消費意欲が直結
2025年には約123万人以上のタイ人が日本を訪問しており、ASEAN主要6カ国の中でも最大規模の訪日市場の一つとなっています(Source)。
この「日本に行きたい・日本が好き」という感情は、イベント来場時の心理にも直結します。来場者は冷やかしではなく、“日本に関連するものを体験・購入したい”という前向きな態度で会場に来ており、ブランドにとっては初期接触から理解・好意形成までを一気に進めやすい環境です。
③ 既存ブランドにも、未進出ブランドにも「試せる場」になる
日本関連イベントの最大の価値は、ブランドと現地消費者がリアルに接触できる点にあります。すでにタイ市場で展開しているブランドにとっては、認知強化やブランド理解を深める場として機能し、現地消費者のリアルな反応を直接確認できる貴重な機会になります。
一方で、これからタイ市場へ参入を検討しているブランドにとっては、テストマーケティングの場として極めて有効です。商品・価格・アプローチがどの層に刺さるのかを、実際の反応を通じて確認できるため、「来場者数の多さ」ではなく、どのセグメントが、どんな目的で来ているかを見極めることが成果の分かれ目になります。
こうした背景を踏まえ、次章ではタイで開催されている「日本をテーマとした主要イベント」に焦点を当て、それぞれが実際にどのように来場者を集め、どういったブランドに有効なのかを整理します。
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Japan Expo Thailand
【イベント概要】アジア最大級、エンタメメインの“大衆向けフェス”イベントとしてバンコク中心部のセントラルワールド周辺で開催される、日本文化の総合展示・体験イベント・食・アニメ・マンガ・音楽・ファッション・旅行・伝統文化・教育・ビジネス交流など日本コンテンツを横断的に体験できる場として設計されている。
【開催時期】2月初旬〜中旬の3日間 *2026年は2月6日〜8日開催。2027年の開催日は未公開。
【会場】Central World
【来場者プロファイル】
- 全世代のタイ人(若年層〜ファミリー層まで幅広い)
- 海外からの観光客・日本文化ファンも来場が確認される傾向 *観光地のサイアムエリアにあるCentral Worldモールに開催するため)
来場動機
- 日本文化・ポップカルチャー体験
- 食・旅行情報の取得
- 日本ブランドとの直接接点(試食・購入・体験)
- タイ現地でのBtoB交渉・ビジネスマッチング(出展者側)
【直近の来場者規模】(参考値)*最新開催回の来場者数(公式発表ベース)
2026年開催では 3日間で約83万人 が来場したとされ、アジア最大級の日本イベントとして高い集客を記録。
【向いているブランド】会場内には食・ポップカルチャー・観光・教育など複数のテーマ別ゾーンが設けられており、来場者の関心領域に応じた導線設計がなされているため、出展可能なブランドの幅は非常に広い。
- 食品・飲料(Taste of Japan ゾーンなど)
- ポップカルチャー/キャラクター商品
- 旅行・観光関連
- 生活・ファッション
- 教育/留学・語学
- 体験型サービス(ワークショップ等)
来場者数が多く、日本に好意的な層と接触できる場です。そのため、詳細を説明するよりも、体験・試食・ビジュアル中心の直感的な訴求が効果を発揮しやすいのが特徴です。
Anime Festival Asia Thailand

【イベント概要】Anime Festival Asia(AFA)は、東南アジア最大級の日本ポップカルチャーイベントとして、アニメ・漫画・ゲーム・コスプレ・ライブなどの関連コンテンツを一堂に集める大型フェスティバルです。AFA自体は2008年に開始され、シンガポール等で長年開催されてきましたが、タイ開催は約9年ぶりの復活となります。来場者が日本の最新トレンドを直接体験し、ファンコミュニティと交流する場として位置づけられています。
【開催時期】2026年5月30日(土)〜31日(日)
【会場】Queen Sirikit National Convention Center(QSNCC)
【来場者プロファイル】
【直近の来場者規模】(参考値)*最新開催回の来場者数(公式発表ベース)
- 最後開催のは2016年AFA TH 2016: 55,000
- 同一ブランドのAFAシンガポール版では2025年に10万人超規模の集客実績があります
【向いているブランド】コンテンツ領域が広く、以下のようなブランドと相性があります。
- アニメ・マンガ/キャラクター関連商品
- ゲーム関連プロダクト
- アパレル・ストリート/サブカル系ブランド
- 音楽・アーティストプロモーション
- コスプレ用品・クリエイター向け商材
- 日本関連番組や日本語コンテンツ
ポイント:ポップカルチャーを核にした認知強化・ブランド接点創出の場として使える一方で、即時売上だけを狙うBtoC商材や説明コストの高い商品は成果設計に工夫が必要です。
Nippon Haku Bangkok 2026
【イベント概要】「Nippon Haku Bangkok(バンコク日本博)」は、タイの実用・情報の日本総合展示会として位置づけられるイベントです。文化・観光・食・教育・物産・就職・エンタメなど、日本に関連する幅広いコンテンツが1つの場で体験でき、タイ人の日本理解とブランド接点づくりを目的としています。
【開催時期】2026年8月28日〜30日
【会場】Queen Sirikit National Convention Center(QSNCC)
【来場者プロファイル】
- 幅広い年齢層(若者〜ファミリー/タイ在住者まで)
- 日本文化・商品・旅行・教育に関心のある層
- 学生・社会人・家族連れが混在
来場動機
- 日本文化・体験コンテンツへの興味
- 物販・グルメ体験、観光情報収集
- 就職・留学・ビジネス接点探索(企業ブース訪問)
【直近の来場者規模】(参考値)*最新開催回の来場者数(公式発表ベース)
2025年開催では公式推計で約15万人前後 (Source)
【向いているブランド】Nippon Haku Bangkok はジャンル横断型の日本総合イベントとして設計されており、テーマ別エリア構成により出展可能なブランド領域が広いのが特徴です。
- 食品・飲料
- 物産・生活雑貨
- 旅行・観光/地域プロモーション
- 教育(留学・日本語・キャリア)
- 美容
- 就職・人材関連
- エンタメ・カルチャー
ポイント:文化体験から実用情報まで網羅しているため、認知向上と市場反応の同時取得に適しています。
Visit Japan FIT Fair
【イベント概要】日本政府観光局(JNTO)バンコク事務所が主催するタイ最大級の訪日旅行プロモーションイベントです。日本への個人旅行(FIT/Foreign Independent Tour)に特化し、航空会社・旅行会社・自治体・観光関連事業者がブースを出展し、訪日旅行情報・ツアー・特典などをタイの一般消費者向けに直接提供します。日本旅行に興味のある層を対象とした“情報+体験+販売”の場となっています。
【開催時期】:2026年10月16日〜18日
【会場】サイアム・パラゴン 5 階
【来場者プロファイル】
- 日本旅行に興味を持つ一般消費者(タイ人)
- 年齢層は幅広く、家族連れ・若年層・旅行好き層など多様
来場動機
- 訪日旅行情報の取得(自治体・観光地・交通・宿泊)
- 航空券/旅行パッケージの比較・購入
- キャンペーン・特典利用(クイズ・抽選などイベント参加)
【直近の来場者規模】(参考値)*最新開催回の来場者数(公式発表ベース)
来場者数:延べ約 5 万 5 千人(3 日間合計)
購入者数:約 19,700 人 ※過去最多購入者数(Source)
【向いているブランド】FIT Fair は訪日旅行誘致に直結する情報接点として最適で、以下のブランドや事業と相性が良いです。
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自治体・地方プロモーション
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航空会社・空港関連サービス
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旅行会社・宿泊施設
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交通機関(鉄道・バス等)
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体験観光・ツアー運営
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観光商品・ツアーパッケージ
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関連ブランドの周辺商材(保険・通信・交通パス等)
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日本の旅行コンテンツ
ポイント:訪日旅行情報を計画・比較・購入する段階の来場者が多いため、認知+直接の行動喚起を狙う構成が有効です。 一方、エンタメ色の強い商材や即売以外の商品の展示は、旅情報の中で埋もれる可能性があるため、体験・特典・提案力の設計が重要になります。
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タイで開催される主要な日系イベントは、日本ブランドにとってタイ消費者と直接接点を持ち、市場の反応を確かめられる有効なマーケティング機会です。イベントごとに来場者の目的や温度感は異なりますが、適切に活用すれば、認知獲得からテストマーケティング、将来的な展開判断までを一度に進めることができます。
一方で、成果を左右するのは「出るかどうか」よりも、どのような切り口で伝え、どんな体験を設計するかです。POINTSでは、鉄道会社(近鉄、阪急、南海)やNHK WORLD-JAPAN など、さまざまな日本ブランドのタイでのイベント出展・ブース施策を支援してきた実績をもとに、タイ市場に即したマーケティングやデザイン設計のご相談をお受けしています。